マネキネコ(ゲームレビュー)
同人フリーゲームのレビューをしております。 たまに、アニメなどの話題も。
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制作:冬のいもうと
ジャンル:インモラルホラーBLノベル
※推奨年齢 15歳以上(高校生~)
たった一人の肉親だった母が死んだ。
天涯孤独となった俺は叔父を頼り、父方の実家がある茂狩村に移り住むこととなった。
頭をよぎるのは、幼い頃から執拗に繰り返された言葉。
「だから蘇芳、何があっても絶対にあの村に帰っちゃいけないよ。
例え肉体は滅び、神として崇め奉ろうとも、鬼の恨みは永劫消えやしないんだ――」
気難しい叔父に戸惑いつつも、優しい友人や美しい風物に囲まれて、次第に新しい生活に慣れていった頃。
まるで見計らったかのように、世界は、糖衣の下の毒を覗かせた。
――鬼がいるから帰ってはいけないのではない。この土地には最早、鬼しかいないのだ。
(ふりーむ! の紹介ページより引用)
久しぶりの更新になります。
今回は、前回レビューした「SALAMANDER」と同じサイトが制作した「糖衣」というBLゲームです。
実は、個人的に冬のいもうと作品の中で一番気に入っているゲームなのです。
「インモラルホラーとはなんぞや?」と最初は疑問に思いながらプレイしてみて、やがてすっかりハマりこみ、全てのシナリオを読み終えた後、「これは本当にすごい作品だ…」と溜息を吐いてしまう、そんなゲームでした。
今作は特にショッキングな演出及びグロテスク表現が目立ちますので、苦手な方は注意。
以下、感想などをつらつらと。
母親が死んだことにより、身寄りが居なくなった本作の主人公・渡辺蘇芳が父方の叔父に引き取られ、茂狩村へ帰郷するところから物語は始まります。
遥か昔、人食いの鬼が跋扈していたという伝説が残っているその村は、母親・しずめに何度も繰り返し「帰ってはいけない」と言われていた場所。
かつて自身が幼少期を過ごしていた場所にも関わらず、なぜか蘇芳には茂狩村に関する記憶が無かった。
厳しい叔父の尊也、クラスメイトの悦史といった人たちに囲まれて村で過ごすうちに、蘇芳の周りに少しずつ異変が起こり始めます。
茂狩村の「鬼」とは何なのか?
本作の攻略対象は悦史、尊也と隠しキャラの三人。(尊也ルートのみ制限有り)
この作品も前作と同じように、ルートごとに物語が大きく異なります。
また、悦史→尊也の順にシナリオを読み終えると、隠しシナリオが出現する仕組みにもなっています。
本作には前作とは違ってホラー要素が含まれており、じわじわと日常を侵食していくタイプの恐怖を楽しめました。
特に、蘇芳の絵日記のシーンはスタンダートながらも恐怖演出が上手く、初見の時にはお尻が椅子から浮き上がるほどびっくりしてしまいました…。
また、日常のシーンでのギャグと下ネタを適度に織り交ぜた会話の書き方も面白く、読みながら作者の言葉選びのセンスに終始感心していました。
今作も作者の表現の上手さが引き立つシナリオで、読ませる力があります。前作と同じく雰囲気によく合ったBGM、豊富なグラフィックなど完成度の高い作りとなっており大満足。
なんと言っても、この作品のキャラたちは皆、個性豊かでそれぞれ魅力的です。
しずめさんの蘇芳に対する愛情には泣きそうになりました…。しずめさんは本当に良い母親ですね…!
悦史のルートでは彼の[二面性]とシナリオの展開、どちらも予想外で驚かされました。
最初から、悦史には何か裏がありそうだと思っていましたが、まさか[チンピラ口調の、ヤンデレのふりをしたツンデレ]だったとは。さすがに予想できないわ、コレは(笑)
このルートのある意味、砂糖衣の下からゆっくり猛毒が姿を見せ始めるようなシナリオ展開にドキドキしながら読みつつも、同時に悦史のギャップに萌えておりました。えつっさんアンタ最高や…。
尊也ルートはいわゆる謎の「解明編」位置づけのルートなので、初プレイ時はルート制限がかかっています。真相解明に至る重要なルートですが、その分ショッキングな展開続きで、びくびくしながら読んでました。
尊也ががんばって蘇芳に微妙なギャグを言おうとするシーンが微笑ましい。ちなみに、このルートに「SALAMANDER」のあるキャラがチラリと出てきたりします。
万能メイドガイのヤシロさんも実に良いキャラで、彼の魅力にすっかりハマってしまいました。ヤシロさん、にゅふふー。
作中に何度か彼と悦史の作った料理の描写があるのですが、文章だけでもとても美味しそうで食べてみたくなります。
ヤシロさんの作った蒸しパンとえつっさんのマカロン食べたい…!切実に!
怪しく、そして背徳的な恐怖が味わえるBLサスペンスノベル。
ホラー表現が平気なら、是非プレイしてみてください。とてもお勧めのゲームです!
プロフィール
気ままに、好きなゲームのレビューを書いております。主にフリーゲーム中心。
女性向け(乙女・BLゲーム)の感想も扱うのでご注意ください。
あと、一応ネタバレには白文字で配慮しております。
時々、年齢制限があるコンテンツを紹介することもあります。
18歳未満の方(高校生含む)は閲覧にお気をつけください。